質的心理学 ~WSに出てみた~

日心の話をもう少し。

昨日書いたのは,
シンポジウム「心理療法と認知心理学のインターフェイスは可能か」
WS「児童青年に対する認知行動療法の理論と実際」
の二つについての感想でした。

実はもう一つ出ていたのですが,自分の理解がなかなかついて行かなかったので感想を書くことを控えていたのですが,まぁおさらい程度に書いてみます。

WS「質的と標榜することで革新されるものは何か」

質的心理学…。なんとなくほのかな期待を寄せてしまう名前です。もしかしたら,心理学にパラダイムシフトを起こしてくれるのではないか,自分の研究に役立つ方法論が転がっているのでないか,と。

しかし,WS中にもお話があったのですが,この質的心理学という名前は正直微妙な気がします。「質的」ってのはあくまで方法論なわけで,何か特定の対象を指すわけではありません。ですので,質的心理学と言われても,あ~質的研究をしてるんだなぁ,くらいのイメージしかなかなか沸いてきません。つか,質的研究法は,むしろ心理学の伝統なんじゃねーの?ピアジェとかさぁとか思いながら参加したんですが,このあたりの話も出てきまして,聴いている分には非常に面白かったです。

テーマは,いわゆる「心理学(この定義からして難しいのではあるが)」と「質的心理学」の融和の可能態ってことでした。

いろいろと話は難しかったんですが,最も印象深かったのは,天ヶ瀬先生のプレゼンでした。

質的研究には,それぞれ独特の認識論があるそうです。なんでしょう。例えば,ギブソンの生態学論とか,バフチンの会話理論とか,そんなんでしょうか。違ったら教えてください。ちなみにギブソンもバフチンも最高に好きです。愛してます。

んで,研究の評価もその認識論に基づいて為されることが多かったと。
しかし,研究の評価ってのは認識論云々で為されるべきではなく,やはり社会的なプラグマティズムに乗っ取って為されるべきなのではないかと。つまり,実際役に立つかどうかという,量的研究と同一の次元で評価されるべきなのではないかとの事でした。

これマジ禿堂です。そうしないと融和も糞も無いですよね。イッツァスモールワールドになってしまいます。これは自分の研究にも当てはまる懸念なので,聴いていて背筋がピンコと伸びました。


質的研究をされている方々が,心理学的な構成概念とか量的研究なんかを批判しているのを見ます。その批判は確かに正しいように思えるし,日頃から質問紙法への疑問を持っている私としても,特に渡辺芳之氏の論考にはうならされるばかりです。アフォーダンスとスキナーの類似性とか,学部時代に最もはまったのがアフォーダンスというか生態心理学だったし,今でも裏テーマとしてアフォーダンスを持ち続けているので,マジで燃えます。ABOFANとの対話も本当に面白かった。そういえば今私が持っているつたない研究観は,大いに氏の影響を受けていると思います。

しかし,成果は?


いや違うな。質的研究法を用いた心理学的な成果は数多いわけで,こんな疑問は筋違いなのかもしれません。エンゲルストロムらの活動理論なんかもバリバリ成果あげてるみたいですし。

ん~。何が言いたいんだろ。やっぱりこの事について書くのは,私の手に余りました。質的心理学という名前にほのかな期待を寄せられるのは,ただ単に自分がそれをよく知らないから,という事なんでしょうかね。

後々考えて,結局一番面白かったのはこのWSだったかも…。

Comment

かなり今さらなんですが,TBさせていただきました;
質的研究,面白いんですけど難しいんですよねえ。
むずおもろいのがまた手に負えないんですよねえ。
とかいいつつおいらなんてまだまだなわけですが。
>>ひなさん

TBありがとうございます。
WS参加を機に,質的研究について今勉強中であります。ちょうどうちの大学院に質的な教育研究を行ってる研究室があるので,そこにちょこちょこ顔を出したりしてます。
彼らが言うには,我々のやってることは既存の心理学を超えていますから,とのことです。話を聴かせてもらっているとほんと面白いんですよねぇ。
おもしろいでしょ~。
おもしろいけど難しいんですわ~。
研究者自体がセンサーになるというのがその難しさと面白さの根源だと思うのですが。

ところで
×エンゲルストロム
○エンゲストローム
では?
知的に美しい方ですよ。<エンゲストローム
>>ひなさん

>エンゲストローム
はっΣ(゚Д゚;)
突っ込みありがとうございます。エンゲル係数か何かと勘違いしてたんでしょうかね。

恥ずかすぃ(´・ω・`;)

>研究者自体がセンサーになる

そこが研究者の腕の見せ所なんでしょうかねぇ・・・。
独創的な考察ができるからこそ,自己完結しちゃわないようにしないといけないんでしょうから。
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ホント今さらだよ;えー,もうだいぶ前のことのような気がしてるんですが(で,ほんとにだいぶ前なんですが),日本心理学会,行って参りました。遅いけどいーんです,自分の覚書なんですから。これを機会にいい加減頭を研究モードに切り替えないと。そして後で知っ
  • 2005/10/02 09:10
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