今日も他にやる事があるわけですけど

最近のロールシャッハ研究を2つ。
Convergence of self-report scales and Rorschach indexes of psychological distress: The moderating role of self-disclosure. Jounal of Personality Assessment, 90(1): 36-43.

ロールシャッハの指標と,psychological distress(自殺傾向,うつ,孤独感)との関係。ロールシャッハと自己報告質問紙との相関の低さが指摘されて久しいが,自己開示傾向の高低でそれを説明できるのではないか,という研究。対象は一般成人59名。自己開示傾向の高低で2群に分けて分析。結果,高自己開示者においてのみ,ロールシャッハと各質問紙との間で関連が見られた。


よく言う投映法のメリットとして,被験者の気づきが無いままに査定できる,みたいなのがあるけれど,自己開示する傾向,つまり自分について話す傾向ってのが影響しているのであれば,そうとばかりも言ってられない。特にCSのように数量解釈を重視する場合は。

んでもこちらのやり方としては,例えばハイラムダとかRの少なさを防衛的,とか自分について話すのに抵抗が,とか,それ自体セラピーに活かす所見として含めたりするわけだから,「そんなの知ってるよ」って感じもする。でもまぁ,知見としては結構良いというか,使い勝手が良さそうと言うか,そんな感じ。


The impact of administration and inquiry on Rorschach Comprehensive System protocols in a national reference sample. Journal of Personality Assessment, 89(Suppl 1): S193-S200.


実施の習熟度はCSの結果にどう影響するか。調査を2度実施して,1回目:SVerの指導を受けつつ調査,2回目:1回目以降に実施の訓練を積んでから調査を実施。2度の調査結果を比較すると,どちらもreliableではあるけど,2度目(つまり訓練後)の方が豊かで複雑な情報を得ることができていた。ロールシャッハの実施法は,得られるプロトコルに対してドラマティックな程のインパクトを持っている。CS実施に関する標準化された訓練プログラムが必要だろう,という結論。


プロパーにもクリティシャンにも,美味しい研究。それはオイトイテ,検査なら実施方法によってそれだけ結果が変わっちゃうのはどうよ,って感じですけど,ロールシャッハは面接ですからね。上記研究で自己開示の影響ってのも出てますけど,自己開示を導くような質疑ができる検査者は,より豊かな情報を得られるとも言えるわけ。これはもう,完全に面接と同じ条件でしょう。アンケートとか,構造化面接とは違うんですよ。それは持ち味でもあり,批判され所でもあり,ですね。


数は減りましたが,海外でも地道にロールシャッハ研究は続けられています。特にヨーロッパ(イギリスは除く)ではそれなりにお盛んです。

投稿日時はインチキしました。

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施行法
最近、若手の人々とロールシャッハの勉強会をやっていて思うのですが…って私も十分ペ...
  • 2008/07/04 07:30
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