視覚なの?触覚なの?何なの?おっぱいなの?

Vision and touch: Independent or integrated systems for the perception of texture?

質感,テクスチャ。普通は手で触れて分かる事のように思うけれど,日常生活において,そうした質感とかテクスチャを知覚する際,触覚だけって事はあんまりない。普通は,目でもそれを見ている事が多いでしょう。んで,見るだけで,だいたいどんな触感がするか,分かることもあるでしょう?

色んな研究が明らかにしてきたのは,視覚によっても質感やテクスチャの何かしらは分かるって事。Visual Texture Perceptionって事で,ボチボチ研究されてたりするんです。そういうのは。David Katzの言葉を借りると,記憶触ってことにもなる。

著者曰く,Katzの考えは半世紀以上も顧みられなかったそうだけど,現在の触覚研究に通ずるアイデアも満載で,触覚に興味がある人は完全に必読。信じられないことに,翻訳版は絶版のようだけど。

触覚の世界―実験現象学の地平


で,冒頭に挙げた論文は,その名の通り,テクスチャ知覚において視覚と触覚はお互いに独立したシステムなのか,それとも統合されたシステムなのかって辺りに関するレビュー。筆者らの結論としては,テクスチャ知覚において,それぞれのモダリティは独立ではあるが,相互補完的な形で働いている,というもの。論拠には脳みそ知見が多くて,1つ1つ調べるのにも一苦労だ。すぐにでも脳単を買うべきだと思った。

脳単―ギリシャ語・ラテン語 (語源から覚える解剖学英単語集 (脳・神経編))


質感の研究ってんだから,できればおっぱいとかおっぱいとかおっぱいとかで研究したいし,とは言えそれはちょっとアレだから,布とか岩とか鉄とか,そういう自然物に関する日常的なテクスチャ知覚について研究した方が,もちろんエコロジカルなんだけれども,それはそれで難しいのだ。なぜなら,自然物の刺激価っていうか,物理的特性っていうのは,こっちでコントロールするのが簡単ではないし,数値化するのも簡単ではない。つまり,扱いが難しい。実験でも使いにくい。だから,知見の蓄積がそんなになされてない。もちろん,自然物を用いた重要な研究はあるんだけどね。
 
個人的には,自然物に関するVisual Texture Perceptionが気になるが,

それについてはあんまりよく分かってねんだわ

というのがレビューによって導かれた結論のようだ。そうでっか。


新生児とか,月齢一ヶ月とか,ホントに赤ん坊も赤ん坊の頃から,視覚と触覚間の転移は認められるんだってのは,へー!と思った。すげーよ,赤ん坊。


気になる一文はイントロの後半にあった。曰く,

Emotional Touchは,今回のレビューの範囲外だ!

ほう…。emotional touchですか。これですね?

Discriminative touch and emotional touch.

ハハ。興味深い。つい勢いでアブストも読まずにPDF買っちまった。

こういう,引用文献を辿っていくのも楽しい,とても上質で面白いレビュー論文でした。ペロッと読んじまった。これから読むべき重要な論文もいくつか発見。

ちなみに,これはサブテーマでも娯楽でもなくて,本ネタ中の本ネタ。我々は,視覚やら触覚やら,その他諸々の感覚で世界と繋がり,記憶やら注意やらその他諸々の認知機能で世界の事を分かる。我々は,それ無しには生きていけない。それは我々の生とピッタリ張り付いているんだ。我々自身の事を知るために,それにアプローチしていくことは,きっと面白い。

再びちなみに,アダルトアタッチメントの研究は,それにアプローチする事で,「人格」を「認知機能」のレベルから記述したわけで,これ実はとっても面白く,エキサイティングな事だと思ってるんだけど,どうすか?

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