一事例の実験デザイン ~てやんでぇバーロー!!~

さて,禁煙遂行中のイライラを昇華させるべく,今日は久しぶりに本の紹介をします。

4931199372一事例の実験デザイン
D.H.バーロー,M.ハーセン


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はじめてG-toolsを使いました。まぁそれは良いとして。
僕はこれを学部時代に読んだんですが,色んな面で勉強になりました。


さて,「一事例実験デザイン」を有斐閣心理学事典で引いてみると…

載ってナス…orz

説明する手間を省こうと思ったら,載ってねーでやんの。まぁいいか。
一事例実験デザインは,臨床的な介入の効果を検証するために用いられる実験デザインですね。シングルケースとか,単一事例とか,とか色々と呼び方はあるみたいです。

まぁ平たく言うと,単一の事例に対して,ターゲットとなる変数(症状とかね)を継続的に測定し,特定の介入を行った場合にそのターゲットがどんな変化をするかを記録していくと。んでそうやって集まった被験者内変動のデータから,独立変数(介入)と従属変数(ターゲット)の因果関係を明らかにするわけです。それによってその介入法の効果を検証すると。

あまり自信がないので,詳しい説明はこことか,ここなんかを参照してください。

方法の効果を検証したいなら,処遇群となにもしない群(統制群)を比較すれば良いのですけど,やっぱ被援助者を統制群に割り付けちゃうのは倫理的に問題があります。だから,それに代わる方法として,スキナーさんなんかが使ってた一事例実験を臨床心理学研究に応用したのだそうです。まぁ一般化可能性なんかの議論がつきまとう方法なのだとは思いますが,そこらへんは類似した事例の累積によって対応できるところなのでしょう。それでも,どこまで一般化するかという限界の設定は重要でしょうね。

さて,Chamblessら(1998)が効果的な介入法の基準を明文化しています。そこでは「十分に確立された介入法」の基準の一つとして,『多数(九つ以上)の一事例実験において効果が示されていなければならない』とあります。ここからも,この方法が重視されているのが分かりますね。ちなみにこの基準は下山晴彦氏監修の「臨床心理学の新しいかたち」から孫引き引用しました。これもマジ良書。

4414301602臨床心理学の新しいかたち
下山 晴彦


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きっちりアセスメントして問題を仮説的に定式化してみる。んでそれに則った介入計画を立てる。ほいでターゲットとなる変数を反復測定しながら,処遇の効果を見ていく。んで改善が見られなかったら柔軟に計画を立て直す。んでまた同じプロセスを踏んでいく,と。ほんとはベースラインの設定とか,処遇導入期と処遇除去期の設定とか,いろいろ手続きが複雑なんですけど,これって基本的に心理臨床のプロセスそのものなんでしょうねぇ。どんなアプローチを取るにしても,この本は良い教科書になりうると思いますです。

研究的な視点を持っておくことが,臨床の質を高めるんだということ,一事例実験デザインの勉強をするだけでも,よく分かります。

それ以外にも,心理療法の効果研究の歴史とか,社会的妥当性の考え方とか,勉強になる記述が満載です。面白いですよ。まぁ一事例実験デザインに関する本は沢山出版されてますので,これだけが良書って事ではないんでしょうが,僕はこの書籍から多くを学びましたので,オススメしておきましょう。

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